Photoshopの作業効率を最大化するPC仕様とは

クリエーターPC

ブログ管理人は写真編集を日常的に行い、実務を通じてPhotoshopを最大限に活用しています。

カメラメーカーのプロサポート会員のブログ管理人が、これまでの経験をもとに、Photoshopでの作業を快適に進めるために必要なPC構成をわかりやすく解説します。

Photoshopでは、複雑なエフェクトや大容量の画像処理を行う際「CPU、GPU、メモリ、ストレージの性能」が大きな影響を与えます。

実際に私が使用している構成を参考に、よりスムーズに作業が進む最適な構成を提案します。

この原稿は、Photoshopの仕様用途を「RAWデータの写真現像」重視でPC仕様を書いています。

PhotoshopのCPU選び

Photoshopの動作において、CPUはシングルスレッド性能が重要な役割を果たします。

アドビ公式によると「Photoshopは6コア程度のCPUに最適化されており、複雑な画像処理やレイヤー操作で安定したパフォーマンスを発揮する」とあります。

8コア以上のCPUをテストした経験もありますが、ポスター制作のように高画素レイヤーを多用しない用途において「Photoshopの処理速度に劇的な向上はない」というのが経験者の率直な感想です。

もちろん、マルチタスクを行う際にはマルチコア数が有利な状況ですが、Photoshopにおいては6〜8コア程度で十分に優れたパフォーマンスを発揮するため「過剰なコア数を選ぶ必要はない」というのが個人的なスタンスです。

Photoshopで快適に作業するためには、6〜8コア程度のクロック周波数の高いCPUを選ぶことが最もコストパフォーマンスに優れた選択と言えます。

Photoshopとシングルスレッド性能

前項でも述べた通り、Photoshopのパフォーマンスにはシングルスレッド性能が重要です。シングルスレッド性能とは、クロック周波数の高い製品をさします・

シングルスレッド性能は、Photoshopの画像読み込みやフィルターの適用時などの処理に影響を与えます。

経験者の意見として、シングルスレッド性能の高いCPUを選択することで、処理速度の向上はもちろん「動作レスポンス」にも大きな改善が見られます。

動作がスムーズになり、操作中の遅延やストレスを軽減できるため、快適な作業が可能になります。

Photoshopとコア数

Photoshopでは、コア数が多いほど、レイヤー編集や大量画像のパッチ処理などを行なう際に有利です。

しかし、Photoshopは6〜8コア程度に最適化されており、それ以上のコア数を搭載しても処理速度の劇的な向上は期待できません。

したがって、一見コア数が多いほど便利に思いますが、通常レベルの作業や用途に過剰なコア数を選ぶ必要はなく、6〜8コア程度で十分なパフォーマンスが得られます。

Photoshopのグラフィックカードの重要性

Photoshopでは、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)が重要な役割を果たしています。

近年は、GPU処理を活用したエフェクトやフィルターが増えてきており、GPU性能の向上がパフォーマンス向上に寄与しています。

例えば、RAW画像のAIノイズ除去は、GPUの性能によって大きく変化します。最新GPUを搭載することで、処理速度が格段に向上します。

Camera Rawの強化ツール「ノイズ除去Raw ディテールスーパー解像度」の処理速度は、GPU性能に比例します。
CPU性能を強化しても期待通りのパフォーマンスは望めませんのでご注意ください!

NVIDIAのGeForceシリーズは、Photoshopにおいても優れたGPU性能を発揮し、特にAI処理やグラフィックエフェクトを扱う際に効果的です。

GeForceが搭載する「CUDAコア」は、OpenCLをネイティブで動作するわけではありませんが、最適化されたスタジオドライバが複雑な編集作業をスムーズにおこない、GPU処理を活用したエフェクトやフィルターのポテンシャルを引き出せます。

GPU支援が得られる機能一覧

アクセラレーションにGPUを必要とする機能

  • アートボード
  • ぼかしギャラリー OpenCLによる高速化
  • Camera Raw
  • 画像サイズ – ディテールを保持
  • ぼかし(レンズ)
  • ニューラルフィルター
  • 焦点を選択
  • 選択とマスク – OpenCLによる高速化
  • スマートシャープ – OpenCLによる高速化

GPUなしでは動作しない機能

  • 3D
  • 鳥瞰図
  • フリックパン
  • 油彩
  • 遠近法ワープ
  • レンダリング – フレイム、ピクチャフレームおよびツリー
  • スクラブズーム
  • スムーズブラシのサイズ変更

グラフィックカードが古い製品でPhotoshopの最新バージョンと互換性がない場合、PhotoshopのGPU機能が制限されるか、GPU支援が機能しない可能性があります。

Photoshopのグラフィックカード選び

Photoshopにおいて、比較的低価格で十分な処理性能を求めるなら、クラフィックスカードはRTX4060が「ひとつの目安」になります。

たとえば、2000万画素程度のRAW画像を扱う場合、RTX4060はコストパフォーマンスが非常に高く、GPUアクセラレーションを活用したエフェクト処理にも十分な能力を発揮します。多くの人が、不自由を感じることなく快適に作業できるはずです。

6000万画素程度の大きなRAW画像や複雑なレイヤー合成を扱う場合は、より多くのCUDAコアを搭載するRTX4070 SUPERの方がより強力なパフォーマンスを提供し、CUDAコアによる並列処理が処理速度を向上させます。

長期間にわたって快適に使用したい場合や、将来的に高解像度のRAW画像のAIノイズ除去を扱う予定があるなら、思い切ってRTX4070 TI SUPERを導入するのもアリです。

一方、RTX4080以上はPhotoshopには過剰なパフォーマンスとなり、コストが高く消費電力が高くなるため、通常の画像編集ではその能力をフルに活かしきれません。「レイヤー合成、画素数、AIノイズ除去」の使用頻度に応じて、RTX4060またはRTX4070 SUPERあたりのグレードを選ぶことがバランスの取れた選択になるはずです。

GeForceとRadion

Photoshopでは、OpenCLに対応するNVIDIAのGeForceとAMDのRadeonの両方のGPUが利用できます。

しかし、GeForceはCUDAコアを活用したOpenCLの高速処理が強みで、GeForceの方が高いポテンシャルを発揮しやすい状況にあります。GeForceのスタジオドライバーは、CUDAコアとの相性が良く、AI処理やGPUアクセラレーションを活用したエフェクトがスムーズに処理できます。

一方、RadeonはOpenCLに対応しており、PhotoshopでのGPU利用が可能です。しかし、Adobe製品はGeForceとの相性が良い傾向があり、Radeonはパフォーマンス面で若干遅れをとっています。

そのため、Photoshopを使う場合は、予算が許す限りGeForceを選ぶことをお勧めします。

Photoshopのメモリ選び

Photoshopのパフォーマンス向上には、メモリの搭載量、クロック速度、レイテンシーが重要です。

一般的に、メモリ搭載量は16GB以上が推奨され、大きな画像や複数のレイヤーを扱う際に効果を発揮します。クロック速度が高いほどデータ転送が速く、処理がスムーズに行われます。

マニアックな点では、低レイテンシーのメモリを選ぶことで、遅延を最小限に抑え、作業中のストレスを減らせますが、その効果はCPUやGPUには及びません。

メモリの枚数は、2枚1組で搭載することでデュアルチャネルが機能し、メモリ帯域幅の倍増によりパフォーマンスがわずかですが向上します。

適切なメモリ選びは、Photoshopでの快適な作業を支える要素です。

メモリ搭載量

Photoshopでは、メモリ搭載量がパフォーマンスに大きく影響します。

例えば2000万画素の写真を扱う場合、16GBのメモリで十分なパフォーマンスを発揮しますが、6000万画素の写真やより高解像度の画像を扱う場合は、32GBのメモリが推奨されます。

合成を頻繁に行う場合、複数のレイヤーやエフェクトを処理するため、データの一時保管場所として32GB以上のメモリが必要になることが多いです。Photoshopは、少ないメモリでも動作する仕組みとして、メモリに保存できないキャッシュをSSDやHDDに保存する仕組み(仮想記憶ディスク)を備えていますが、SSDやHDDのアクセス速度はメモリより遅いため、パフォーマンスの低下を招きます。

十分なメモリを搭載することで、作業時のキャッシュを高速で読み書きできるメモリで完結できるため、動作がスムーズになり、ストレスなく作業を進められます。

※メモリを過剰に増量しても、Photoshopのパフォーマンスは劇的に向上しません。16GB~32GB程度で十分なため、それ以上の増量は無駄になることがあります。

メモリのクロック周波数とレイテンシー

クロック周波数が高いほど、データの処理速度が速くなり、Photoshopのパフォーマンスが向上します。

また、レイテンシーが低いメモリ(CL値の小さい製品)を選ぶことで、データ転送の遅延を減らし、よりスムーズな動作が実現します。オーバークロックを行うことでクロック速度を上げることは可能ですが、システムが不安定になるリスクを伴います。

安定性が求められる作業環境では、定格メモリクロックで十分なパフォーマンスが得られるため、過剰なオーバークロックは避け、適切な設定で安定した性能を維持することが重要です。

PhotoshopのSSD選び

Photoshopの起動や動作において、SSD(ソリッドステートドライブ)の性能は非常に重要です。起動時間を短縮し、読み込みや書き込みの高速化を図るため、NVMeタイプのSSDが推奨されます。

SSDの効果は絶大で、、Photoshopの起動やファイルの読み込みが大幅にスピードアップし、作業効率が向上します。

容量に関しては、OSやPhotoshopのインストールに加え、大きな画像や作業ファイルを保存するため、最低でも500GB以上、1TB以上が理想的です。

とくに大量のデータを扱う場合や、プロジェクトが複数ある場合は、1TB〜2TBのSSDを選ぶと、余裕がある状態で快適に作業できます。

Photoshop SSD選びのコツ

  • 品質の良いTLCタイプを選ぶ
  • DRAMキャッシュ付きを選ぶ
  • ランダムリード値の高い製品を選ぶ
  • IOPSの数値が高い製品を選ぶ

起動ドライブや仮想記憶ディスクとして使うSSDは高速で安定した性能が求められるため、品質の良いTLCタイプを選ぶことが重要です。できることならQLCタイプは避けたいところです。また、シーケンシャル性能以外の他、DRAMキャッシュやIOPS値の高さも重要です。

NVMe SSDの規格

Photoshopにおいて、NVMe SSDの規格(Gen3、Gen4、Gen5)を組み合わせた場合、それぞれの性能差が影響します。Gen3は最大転送速度約3.5GB/sで、日常的な作業には十分な速度を提供し、価格がリーズナブルです。

Gen4は約7GB/sの転送速度を持ち、特に高解像度の画像や複雑な合成処理を行う場合に効果的ですが、Gen3より価格が高くなりがちです。

Gen5は最大14GB/sという超高速転送が可能ですが、現時点では高価であり、Photoshopの利用においてその性能がフルに活かされ「体感できる場面」は少ないかもしれません。また、多くのマザーボードはGen5規格に非対応の可能性が高く、Gen4のマザーボードにGen5のSSDを装着しても、本来のパフォーマンスを発揮できません。

コストパフォーマンスを重視するならGen3またはGen4で十分な性能が得られるはずです。

PhotoshopとUSBポート

Photoshopの作業効率を高めるためには、USBポートの速度にもこだわる必要があります。

CFeカードや外付けSSDからのデータ転送において、最新のUSB4やUSB 3.2 Gen2×2規格が使用できると魅力的です。

これらの高速ポートは転送速度が最大40Gbpsに達し、大容量ファイルの読み込みや書き込みが迅速に行えます。これにより、作業前のデータ取り込みがスムーズに進み、データ転送の待ち時間を最小限に抑えることができます。

ゲーミングPCは一般的にゲームに特化したスペックを持っており、グラフィックカードや処理速度重視ですが、Photoshopなどのクリエイティブ作業では「データの受け渡し」も欠かせなくなるため、より高速なストレージやUSBポートの速度が実作業に直接影響します。

Photoshopを快適に使うには、ゲーミングPCとは異なり「ストレージ接続の高速性を重視したPC選び」が必要です。

PhotoshopとCPUクーラー

CPUクーラーには水冷と空冷があり、それぞれにメリットがあります。

水冷は冷却効率が高く、CPUの温度を低く保つため、安定したパフォーマンスを維持できます。高負荷時やオーバークロック時には効果的で、静音性にも優れています。

空冷は比較的手軽でコストパフォーマンスに優れ、設置が簡単ですが、冷却能力は水冷に劣ります。

静音性では、空冷でも高性能ファンを選び回転数をBIOSで調整することである程度静音化できますが、水冷の方がより静かになる傾向があります。

また、AMD Ryzenプロセッサーでは、冷却が効いているとCPUが自動的に動作クロックをブーストする機能があり、冷却性能を強化すると、より高いクロックで動作し、パフォーマンスが向上する傾向があります。

そのため、AMD Ryzenプロセッサーは適切なクーラーの選択が重要で、冷却性能が高ければより高いパフォーマンスを引き出せます。

Photoshopと電源

Photoshopを使用するシステムでは、安定した電力供給が求められるため、電源容量の選定は重要です。

RTX4060やRTX4070 SUPERなどのGPUを搭載する場合、600W~750Wの電源が推奨され、RTX4080のようなハイエンドGPUでは850W以上が必要です。

将来のGPU交換を考慮する場合は、余裕を持った電源選びが重要です。

さらに、80PLUS認証が付与された電源を選ぶことが推奨され、ブロンズ認証では効率が低く、電力損失が大きくなります。

ゴールド認証以上の電源を選ぶことで、エネルギー効率が向上し、冷却性能や長期的な耐久性も確保できます。高効率の電源を選ぶことで、無駄な熱の発生を抑え、システムの安定性・静音性・電気代の削減に寄与します。

PhotoshopとWi-Fi

Wi-Fiの有無は、インターネット接続やクラウドストレージへのアクセスに必要不可欠であるのと同時に、Bluetooth機能を活用するためには、Wi-Fiが必須です。

Bluetooth接続のマウスやキーボード、ヘッドセットなどの周辺機器を接続する際、Wi-Fi機能が有効になっていると、より安定した接続が可能です。

Wi-FiとBluetoothは同じ無線通信を使用するため、干渉しないように設定することが重要です。

PhotoshopとLANポート

有線LANの性能は、大容量ファイルの転送やファイル共有において重要です。

2.5Gbpsや10Gbps規格を活用するためには、対応するネットワークハブやスイッチが必要です。

また、高速通信を実現するためには、適切なケーブル(例えば、Cat5e以上のカテゴリのケーブル)が必要です。

これらの要素が揃うことで、ネットワーク内でのデータ転送が効率的かつ安定します。

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